スポンサードリンク


年金と国民電子私書箱


年金と国民電子私書箱

政府のIT戦略本部(本部長・麻生首相)は6日の会合で、「i−Japan戦略2015」を決定した。
国家戦略として、デジタル技術活用による豊かな暮らし作りを目指す。
自分の年金記録などの情報を安心して取り寄せることが出来る「国民電子私書箱」(仮称)の設置や、医師不足に対応した遠隔診療の拡大などが柱。政府は2015年までにこれらの施策を実現するため、予算を重点的に配分する方針。
電子政府・電子自治体」「医療・健康」「教育・人財」を三大重点分野と位置づけた。【読売新聞】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090706-00000969-yom-pol

いわゆる「年金未納問題」や「年金記録問題」などを背景として社会保険庁が解体され、2010年1月から従来の年金に関する業務は「日本年金機構」に移管をされます。
この動きとともに、年金に対するいわゆる「行政サービス」も飛躍的に改善され、昨年の「ねんきん特別便」、今年度は「ねんきん定期便」の
発行が行われています。

ところで、サービスは向上したものの、肝心のコンピュータの中身がそれほどは改善されていないなという感じがしています。
たとえば、ねんきん定期便では50歳以上の方に年金見込み額を合わせてお知らせしています。
このことは確かに良いことなのですが、その見込み額をもってライフプランが作成できるのかというと少々疑問が残ります。
ねんきん定期便に書いてある見込み額はあくまでも見込み額だからライフプランを立てられるわけがない。
そういったことを指摘するつもりはありません。
見込み額であっても、ある程度のライフプランを立案することは可能です。

現在の見込み額の示し方については人によっては大きな危険性を持っている可能性があります。
たとえば、現在の見込み額には加給年金や振替加算のことに言及をしていません。
また、厚生年金基金については加入記録の提示だけでこちらについては見込み額が示されてはいません。
厚生年金基金は国が支給する年金ではないので国は見込み額を示せないというのは理屈としてはわかりますが、定期便を受け取った人が真に知りたいのは、「自分はいくらもらえるのか。」ということだと思います。
そうした意味で、定期便に示されている年金見込み額については少し物足りないし、考えようによっては怖いなという印象を持っています。

また、今後は特別支給の老齢厚生年金が少しずつなくなっていくので、
繰上げに対する希望というのも多くなっていくと思われます。
しかし、繰上げ支給は考えようによってはリスクが高くなります。
したがって、一層のことこのあたりの情報提供が必要になるものと思われます。

この繰上げなどに関する損得の情報をつかむためには社会保険事務所で年金相談を受けるということが原則になっていますが、今回の報道にあった「国民電子私書箱」(仮称)はこのあたりにも対応することができるのでしょうか。
もちろん、年金に関して世の中の仕組みが便利になるのはありがたいことですが、年金はとにかくややこしいので、できるだけわかりやすく、また、充実したサービスの構築を望むところです。

年金記録問題と無年金(追記)


年金記録問題と無年金(追記)

社保庁は2007年、保険料納付期間が年金受給に原則必要な25年に達しない60歳以上の人が73万人に上るとの推計を発表。今回の調査はコンピューターの記録上、納付期間が25年未満となっている1628人を抽出し、訪問調査した。

その結果、調査できた685人のうち、実際には受給資格を満たしている人が32人(4・7%)いることが判明。このうちの19人は納めていた保険料の納付記録が該当者不明で宙に浮く形になるなどし、納付期間が足りないと判断されていた。2人は保険料の免除期間に記録漏れがあった。また28人(重複あり)は25年に合算できる期間を申告していなかった。【読売新聞】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090701-00000918-yom-soci

年金記録問題と無年金に対する追記です。
別の記事を見ていたところ上記の文章に気がつきました。

ここで、特に気になるのが、32人中28人が年金の受給資格25年に合算できる期間を申告していなかったため年金を受給できていないという部分です。
これは単に申告をしていなかったというよりも合算できることを知らないために申告をしていなかったという方が実情に近いのではないでしょうか。

ところで、合算できる期間とは「合算対象期間」のことだと思いますが、この合算対象期間には年金制度の変遷上たくさんの種類がありとても難しいものになっています。
ただ、実例として多いパターンは次のとおり3つになります。
なお、合算対象期間は老齢年金の受給資格25年には参入しますが年金額計算は行われません。
受給資格にはなっても、年金額にはならないということで合算対象期間は「カラ期間」とも称されています。

1 昭和61年3月までの厚生年金や共済組合に加入していた人の被扶養配偶者
2 平成3年3月までの学生
3 厚生年金の脱退手当金を受けた期間

1と2については、当時の年金制度では国民年金の任意加入とされていました。
つまり、加入はしなくても良いと国が認めていたわけです。
加入をしなかったとき、その期間は合算対象期間になります。
ただし、加入をしなければ国の記録にも一切が残らないので、受給資格を得るためには本人の申し出が必要になります。

3は厚生年金の短期加入者の方が会社を退職するときなどに一時金の形で受け取ったものです。
この短期という期間は時代によって異なりますが、特に女性の場合で2年加入すれば脱退手当金を受け取れるという期間が約25年も続いたため、これに該当をする人はたくさんいます。
この脱退手当金を受けてしまうと、厚生年金は被保険者でなかったものとされてしまいますので老齢厚生年金にはなりません。
また、老齢基礎年金で脱退手当金の期間は合算対象期間になりますのでやはり年金額の計算は行われないことになります。
脱退手当金を受けた期間については、記録そのものは国に残ります。
ただ、この脱退手当金を受けたのは圧倒的に女性に多く、脱退の理由の多くを占めるのは、いわゆる結婚退職です。
つまり、会社に勤めていたときと結婚したときでは姓が異なっていることが多いので国に記録は残ってはいても結びつけることができない可能性が高い期間でもあります。
これも「宙に浮いた記録」の一つです。

当時の社会情勢を考えれば合算対象期間があるのも仕方のない側面もありますが、この合算対象期間が受給資格の有無を作用してしまうことがあるのは事実ですし、この問題について国が解決する手段を持っていないことはやはり考え物です。
本人の申し出によってしか解決する手段がないのであれば、「ねんきん定期便」だけでなく、より活発な広報活動をしていただければと考えています。
スポンサードリンク