年金分割の注意点 振替加算
老後の年金は夫婦で考える。
これが年金相談を行ううえでの基本になってきます。
あるいは、年金分割なども変形の夫婦で考える年金なのかも知れませんが、今回取り上げるのは老後の年金は夫婦で考えるというスタンスの基本ともなるべき加給年金と振替加算です。
加給年金と振替加算は一対の関係で示されます。
ただ、お互いが対等かというとそうではなくて、加給年金が主、振替加算が従という関係になります。
つまり、加給年金を受け取っていた人がその権利を失ったとき、その配偶者に振替加算が支給されるようになるという関係です。
したがって振替加算だけが単独で支給されるということはありません。
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加給年金と振替加算は、長いと短いの関係で示されます。
この長い、短いとは厚生年金の期間のことです。
厚生年金の側から見たとき、厚生年金期間の長い人にはそれなりの年金額が支給されますが、厚生年金の期間が短い人には低額の年金しか支給されません。
この長い人と短い人が夫婦であった場合、夫婦の年金を合算してもそれほどの額にはならない。
老後の所得保障としては不十分であるという視点から長い人に加給年金が支給されることになります。
なお、長い人とは厚生年金期間が20年以上(中高齢の特例に該当する場合は15年〜19年で可)で、短い人とは厚生年金期間が20年未満(中高齢の特例に該当する場合は15年〜19年未満)のことです。
ところで、加給年金は有期の年金です。
加給年金の対象となる配偶者が65歳に達すると加給年金の権利は失権をします。
これは厚生年金期間の短い人であっても65歳になれば老齢基礎年金を受けることができるようになるので、わざわざ加給年金を支給しなくても夫婦の老後の生活が困ることはないであろうという考えによるものです。
ここで、年金制度の歴史を少しだけ振り返ってみると、日本の年金は男性に有利で女性に不利という時代がありました。
この加給年金と振替加算については、法律上の男女差はありませんが、少なくとも制度設計の前提としてこのことは考慮されています。
加給年金と振替加算の制度設計は、加給年金を受け取るのは夫、振替加算を受け取るのは妻という前提で行われています。
老齢給付に男女差がまったくなければ加給年金で話は完結します。
ただ、女性の老齢給付は年金制度の歴史的背景で少額になってしまう場合もあるので、昭和41年4月1日以前生まれの人には、老齢基礎年金に振替加算を合わせて支給することになりました。
一番、一般的な言い方をすると夫についていた家族手当(加給年金)が妻が65歳になったのでなくなり、その代わり妻の老齢基礎年金に振替加算が合わせて支給されるようになったということではないでしょうか。
振替加算は昭和41年4月2日以降生まれの人には発生しません。
これは昭和61年4月に基礎年金という考え方が導入され、年金の男女差が少なくとも建前上はなくなったためです。
加給年金は配偶者65歳までという有期年金でした。
一方、振替加算は終身で支給されていました。
したがって、年金分割の制度ができる前は、65歳になって老齢基礎年金と振替加算をもらえるようになったら離婚をしよう。
こうした事例が数多くあったようです。
ところで、年金分割の制度が始まると振替加算にちょっとした異変が起こるようになりました。
それは、65歳以降の人で「短い」ために振替加算を受給していた人が、年金分割を行った結果、この分割をした厚生年金期間と自身の厚生年金期間を合算した期間が240月以上となった場合、厚生年金の期間が長いに該当するため、振替加算を支給停止にするというものです。
前回まで、年金分割は標準報酬の分割で、年金分割をしても受給資格期間が増えることはないとお伝えしてきました。
この振替加算の支給停止はそれとは矛盾するものと考えることができます。
ただ、振替加算の基本的考え方として、老齢給付の金額の少ない人に対して振替加算を支給するという前提があるため、年金分割をして年金額の多くなった人に振替加算を支給する理由がなくなるということで行われるもののようです。
65歳以降振替加算を受け取っている人は、当然その振替加算も込みで年金額の増額を考えている場合が圧倒的に多いとは思いますが、
このような事例もあるようなので振替加算を受けていて年金分割を考えている方はご注意ください。
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